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主役のいない大僧院
(1992年@カム・ジェクンド)

ジェクンドはカム地方(東チベット)北部の中心都市。
サキャ派の大僧院ジェグ・ゴンパなど、周辺には有力な僧院が多い。

再建途上の大僧院ジェグ・ゴンパ。丘の斜面に広がるチベット寺院の典型的なスタイルだ。灰色の下地にエンジと白のコントラストはサキャ派独特のカラー。手前にお堂や学堂があり、丘の斜面には僧坊が立ち並ぶ。現在は丘の上のほうまで順調に修復が進んでいるそうだ。

お堂の外側の壁に描かれた壁画。典型的な“六道輪廻図”や、僧院の縁起の物語を絵にしたものなどなど。細かく見ていくと何日あっても足りない。

お堂内部の壁にびっしり描かれたブッダ。本当はもっと暗いのだが、シャッタースピードを遅くしたため、こんなに明るく写っている。

たくさんあるお堂のそれぞれが表情豊かで楽しい。僧たちはみなフレンドリーで、例によって僧坊でバター茶をごちそうになった。

丘のふもとにあるお堂は参拝に来た地元の人たちでにぎわっていた。まわりは、のどかな大麦畑。

本堂はまだ再建工事中で、工事用の足場が残っていた。真ん中の玉座に座るべき高僧は? と聞いたら、
「インドに行ってしまった」。
中国の侵攻後、指導的立場にあった高僧の多くが、ダライ・ラマ法王の後を追ってインドに亡命した。

中国風の建物が建ち並ぶ大都市とはいえ、ここはチベット。遊牧民がヤクや羊などの家畜を連れて堂々とメインストリートを行き来する。自動車は立ち往生し道路は大渋滞。今でもこんなのどかな風景が残っているだろうか?

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