I Love Tibet!>>「ブルータス」、チベットに出会う! >>#07:ダライ・ラマ法王の法話


ブルータス、チベットに出会う text: Kyo ARAKAWA

#07■ダライ・ラマ法王がチベット人たちに語ったこと

法王秘書のテンジン・タクラさんと打ち合わせした翌朝、チベット人への法話があるとご連絡をいただきました。取材班が到着するとすでに広場には大勢の人だかり。今回は限られた人しか聞けない法話レポートのお話です。

[今回は写真をクリックすると拡大して見られます!]


広場で待つチベット人はビザがないからお寺の中に入れない。なにしろチベット難民は増加し続けているのでインド政府からのビサは年々下りなくなっているそうです。空は青く晴れわたり(滞在中、この日の午前中だけはいいお天気でした)、ものすごい熱気の中、ランウェイを法王が私服SPに囲まれて登場!(ブルータスp.13〜14の写真)。今まで色々なコンサートやイベントに行ってみたけれど、こんなに人々に熱気があり、同時に静かなのは初めて見ました。広場にいるチベット人たちはまるで穏やかな波のようになって法王をお迎えしていました。そして法王は始終微笑んでいらっしゃいました。


お寺には本堂の左にもう一つ小さめのお堂があります。まず法王はそちらに入られ、読経する僧たちが並ぶ中を通って奥で数分立ち止まられました。読経は法話中もずっと続けられますが、法王はさらに本堂へと移動されます。
本堂の中に入れたのはVISAをもらった人たち。ブルータス取材班も特別に中に入れていただきました。法王は最初に「瞑想をしていたのでお待たせしました」とおっしゃり、オーディエンスをぐるりと見回して「子どもたちが多いようですね」。そして一番後ろにいた車椅子のお年を召した方にお声をかけられた後、法話は始まりました。


「今日は子どもが多いようだが、教育は大変大事である。チベット文字の歴史は古く、これを学ぶ事は大切である。伝統を守り誇りを持って生きてほしい。
最近あるリンポチェ(高僧)の本をインド人の学者がヒンドゥー語に訳したが、チベット人の学力に驚いていた。だからみなプライドを持って良い。
国と社会を守るため、同時に現代教育も学ぶように。なぜならば亡命している私たちの生きている環境は日々変化しており、柔軟な考えをもって進んでいかねばならない。わが国は鎖国をしていたために、このような状況になってしまった。


これからチベットへ戻る者は(VISAがあると行き来できるのでチベットへ戻る人も多いようです)寺を大事にし、心を強くもって頑張りなさい。自信をなくしそうな時は、仏教を心の支えにしなさい。
最近僧によっては中国へ行き不正をする人もいるようだが、それは仏教の教えに反している。人生においては常に正義をすべきで、ごまかしたり逃げてはいけない。それらは一時的な逃避にしかならないのだから。
良い人間になるためにはどうしたらよいか……それには心が平和であること、そして知識が必要だ。
困難にたちむかうために、仏教はとても役に立つ。20年間中国の刑務所に入れられ、拷問を受け続けても精神を病むことなかったチベット人がいる事に外国人は驚き、そして賞賛している。実際、世界中からチベット仏教を学びに来る人は増加している。
子どもたちは勉強を頑張るように。チベットの将来はあなたたちにかかっているのだから。常に心を清潔にし、慈悲の心を持って人と接するように。これからも寺に行き、守るように。これからダラムサラで過ごす人たちはインド人と仲良くするように」


私たち外国人に話す時よりもさらに威厳ある雰囲気を感じた1時間でした。
法話の後は、法王から一人ひとりに薬などが入った封筒と結び目のついた赤い紐が手渡されます。中には涙をながす人も。
法王は目を見つめながらお話なさっていらっしゃいました。
中国に何もしていないチベットがどうしてこんな事になってしまったんだろうと心が痛くなりました。


すべての人々にプレゼントをお渡し終えられた法王は、側近の方たちが用意した水でお手を洗いになられ、私たちに手を振って出て行かれました。
階段を下りて広場に戻った法王は、法話の間ずっと寒い中外で待っていた人たちと握手なさり、時にはお言葉を交わし、エアメールを含む手紙を受け取りながらゆっくりゆっくり進んで行かれたのでした。


みんなが正座し真摯に法話を聞いているのか、ひとりだけじーっとカメラをみつめる男の子を発見(ブルータスp.18)。男の子のバックは、あのダライ・ラマ法王です。なんかこの子の笑顔をみているとチベットの将来は明るいと思います。(荒川 京)

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 ダライ・ラマ法王(チベット・ハウス)

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